フランスの大学での身分は?

「研究指導の委託」の場合、よく分からないのは、フランスの大学で一体自分はどういうポジションになるのか?ということです。
これは、取得するビザの種類(学生ビザか研究者ビザか)と、フランスの大学での手続(Master2に登録するのか、Doctoratに登録するのか、日本でいう研究生として所属することができるのか)に大きく影響するので、非常に重要なポイントかと思います。


特別研究員DCの規定によれば、海外の大学で学位をとる目的の留学はできないということになっています。
手がかりはこれだけ。
私はこれを読んで、フランスの大学の学部やMaster2には登録してはいけないのだと解釈しました。
ではDoctoratに登録することはできるのか?
でもDoctoratだって博士の学位をとることを目的にした課程なのでは?そもそもフランスの大学に正規に登録をしてはいけないのではないか?


よく分からなくなってきたので学振に電話をして問い合わせたところ、


・学振側では、渡航先の大学でのポジションについては関知していない。
・取得するビザについても特に学生ビザ(あるいは研究者ビザ)でなければならないといった条件はない。
渡航先の大学や大使館からの指示に従うように。


とのことでした。
でも、「渡航先の大学」からは、「あなたはどういったポジションで留学したいのですか」と聞かれるわけですから、結局は、自分がどういうポジションで留学したいかによるというわけです!
つまり、自分で決められるということ!!


私は以前、フランスの受入教授から受入れ承諾をいただいた際に、その先生から
「Master2に登録しますか?それとも自由聴講生(auditeur libre)として留学しますか?自由聴講生でも研究室や図書館は使えますよ。」
というお話をうかがっていました。
私はかねてから、日本でいうところの「研究生」の立場で留学したい(研究に集中できるし、出ようと思えば授業にも出られるし、指導教授との面談もあるし)と思っていたので、この「自由聴講生」がいいと思ったわけです。
(※ちなみに、この「自由聴講生」というのはれっきとした独自の身分で、登録料も支払う必要があります。)
なお、そのときに、「Doctoratに登録しますか?」という選択肢は提示されなかったので、おそらくMaster2のDiplomeを持っていない私では難しいのだろうと思って問い合わせなかったのですが、今から思えば、Doctorat登録の可能性も探ってみてもよかったのかもしれません。


では、「自由聴講生」でと思ったところ、それではビザ取得の際に問題があることが分かりました。
「自由聴講生」では、フランス大使館から学生ビザを発行してもらえないとのことです。

そこで、私が行くことになっているフランスの大学の留学生課に、登録(inscription)はしないけれども研究留学をすることはできるか?、その場合、ビザはどうなるのか?(研究者ビザか、学生ビザか?)と問い合わせてみました。
その担当者によると、登録なしの研究留学は可能とのこと。
そして、ビザについては、わざわざそれを管轄している警察庁に彼女が問い合わせてくださいました。
警察庁の回答は、奨学生であるならば、学生ビザとしての扱いが可能とのことでした。
奨学生かどうか・・・
特別研究員がもらっている研究奨励費って、厳密には、奨学金ではなくて「給料」だということになっているけれど・・・そんなことはとやかく言われないだろうと思って、「奨学生です」と返事をし、学生ビザを取得するための手続に入ることになりました。